◆1999年3月第3週のぶりてんコラム◆




3月18日号 NO.220
『ニューヨーカーへの道』〜病気のかかり方〜
 さて、ニューヨークにおける「病気のかかり方」なのであります。
 ニューヨークにおりますと、いろんな病気にかかります。
 でも、これは別にニューヨークにいるからかかるのではなく、日本におっ ても病気にはなるわけですから、ニューヨークのせいではないのですが、で もでもニューヨークでも病気にかかるのであります。
 まずは性病のハナシから。
 え? なんで性病ですって? それもそうですな。失礼いたしました。
 では虫歯から始めることにしましょうか。
 皆さんご存知の通り、海外旅行保険ってやつは、通常歯の治療代ってのを カバーしてくれないのであります。ですから、軽い気持ちで歯医者に行った りしますと、とんでもない目にあったりします。
 差し歯を入れるのに1000ドル以上かかったりするんですから、困った ものです。ちょっと治療しただけで数百ドル、ってハナシもよく聞きます。
 ただ、安くすます方法もないことはありません。ハーレムのほうに安い歯 医者があるらしいですし、例えばニューヨーク大学付属の病院はかなりお安 くなっております。
 ニューヨーク大学付属歯医者の安さの秘密は、「歯医者さんが学生なの よ」ということになります。
 そうなんです。みんな歯科専攻の学生さんなんですね。
 体育館みたいな治療室に例の歯医者イスがうらーっと並んでおり、そこに 学生たちが山のようにいて、ほとんどモルモット化した患者たち相手に自分 が学んだ治療技術を試しておるのであります。
 患者のX線写真を撮るところから彼らの実験は始まります。なんせみんな 学生さんですから、最初からうまく行くわけがありません。放射線をガンガ ン浴びせられることになります。
 普通の写真だったら、バチバチ撮ってもらっても一向にかまわないのです が、いや〜X線ですからねー、「コラコラ、原子力発電所で働いてるわけ じゃないんだから」とツッコミのひとつも入れたくなります。
 それがすむと、今度は具体的な治療に取り掛かります。
 でも、その前にいろんなことが起きます。
 自分のイスの位置がわからずに、患者を治療台に座らせたまま、車輪付き のイスを前後左右に激しく走らせる学生さんもいますし、「あれがない」 「これがない」と騒ぎ出すヤカラもおります。
 その間、患者はじっと自分の「センセイ」が落ち着いてくれるのを待つこ とになります。
 かなり恐い瞬間ですね。
 「こ、こ、こいつ、大丈夫かよ」
 そのような思いが頭の中を走り抜けます。
 でもご安心を。ちゃーんとたまに教授さんたちが見回りに来て、ヘンなと ころをチェックしてくれます。ときどきまわりにいた学生たち全員に「みん なシューゴー」的に声をかけて、そのかわいそうなモルモットをみんなで取 り囲み、「いいかい、これはね・・・」てな具合に授業を始めてしまう場合 もあります。
 ナメてますね。
 すべてがそんな感じですから、治療にやたらと時間がかかるのでありま す。ウィーンと治療を始めても、「あ、これってどうするんだっけ?」と患 者を置き去りにして、教授を探しに走ったりもします。
 となりで治療してる同級生に、「おい、ちょっと、ちょっと」と質問する 場合もあります。
 ですから、治療には約2時間ぐらいかかります。その間、患者のほうは口 を開けっぱなしなわけですからたまりません。アゴの筋肉が硬直してしまい ます。
 でも、なんだかんだ言いましても、25ドルとか50ドルで治療してくれ るんですからありがたいですよね。貧乏人の方は、早速ニューヨーク大学付 属病院に走りましょう。
                      徹
                 

「ぶりてんNuts」編集部


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