◆1998年9月第1週のぶりてんコラム◆
9月2日号 NO.180
『NYウエイター物語』〜寿司政の人々7〜
「おはようございます」
「おはようございまーす」
「え〜と、新しい方が入りましたんでご紹介したいと思います。見ての通り
ウエイトレスです」
え、え、え?
「店長、と、と、飛ばしてますね」
「ヨシくん、ツッコミありがとう。でも、遅刻はしないように。そんなわけ
でご紹介しましょう。石野真子さんです」
「てんちょおおお〜」
「ふる〜い」
そのヨシと呼ばれている男性と着物の女の子が笑いながらツッコんだ。
他の4人も「またかよ」的に笑っていた。
「さて、冗談はこのくらいにして、えー、竹・・・」
「竹中です」
「ごめん、ごめん。竹中くんです。では、自己紹介よろしく」
「え? 自己紹介ですか?」
「軽くね、軽く」
「え〜と、竹中浩秋と申します。今ニューヨーク市立大学に通ってます。レ
ストランで働くのはこれが初めてです。そんなとこでしょうか・・・」
「得意技は?」
ヨシくんが言った。
「え? 得意技ですか?」
「正常位です」
「誰も店長には聞いてません!」
「失礼」
「別にないですね」
「じゃあ、一応、みんなも紹介しとこうか・・・」
そう言って権藤さんは、向かって左側から紹介し始めた。
「まずヨシくん。で、チヨさん。タミちゃんにメグロさん。カヨちゃん。ヤ
マモトくん。まあ名前はそのうち覚えるよ。そんじゃみんなよろしくね」
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いしまーす」
人の名前をファースト・ネームで紹介されたのは少し意外だった。でも、よ
く考えたら、大学でも日本人同士ファースト・ネームで呼び合ってたんだっ
け。
「竹中くん、竹中くんって普通はなんて呼ばれてるの?」
権藤さんが聞いた。
私は大学のことを思い出しながら言った。
「友達には”ひろ”って呼ばれてますね」
「じゃあ、”ひろ”にしよか」
というわけで、私はこの店では”ひろ”と呼ばれそうな気配なのであった。
ひろ
9月1日号 NO.179
『ニューヨーカーへの道』〜あなたは挨拶できますか?2〜
わたくし、「挨拶しようぜしようぜ」と言っておりますが、それは決して
「みんないい人になろうね」という意味ではありません。つまり、「挨拶で
きる人=いい人」ではないのよそこんとこヨロシクなのであります。
わたくし考えますに、挨拶というのは「いい人悪い人」という尺度とはまっ
たく関係のないところに存在するものなのであります。
「挨拶は人間の基本だわ」
それがわたくしの新年明けましておめでとうございますではなくて信念にな
ります。挨拶できるできないは、人がいい悪い、育ちがいい悪い、頭がいい
悪いとは、じぇんじぇん別の次元にある話なのです。
人間がメシ食ってウンコして寝るのと同じレベルにあるのが、この「挨拶」
というヤツじゃなかろか、とわたくし熊本弁で思うのであります。
「挨拶しない人間は、人間じゃねえ」
わたくしそこまで言い切ってしまいます。
だからね、私は別に「挨拶できるようになるってことは、いい人間になるこ
となんだから、しっかりがんばるのよ」と道徳の先生みたいなことを言って
るのではなくて、ただ単に、挨拶できない人たちに「挨拶して人間になりな
さい」と言ってるだけなのですね。
クリアーかしら。
確かにニューヨーカーは無愛想ですが、挨拶はできます。それに比べると、
ジャパニーズ・ニューヨーカーは無愛想だわ挨拶できんわの二重苦。誠に無
残でございます。
勝敗表でいきますと、
愛想 挨拶
ニューヨーカー × ○
Jニューヨーカー × ×
アメリカ人というのはホントに大した人たちでありまして、性格は結構最悪
な人でも挨拶だけはきっちりできたりするのであります。
ニューヨーカーらしくきっちり無愛想になるのは仕方ないとして、せめて彼
らの挨拶能力の部分だけでもみんなで学んでみようじゃあ〜りませんか。
徹
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