◆1998年7月第2週のぶりてんコラム◆




7月9日号 NO.164
『A Shot of New York』 〜Sruvivin' in Lower Eastside〜
いやいや皆さん、お久しぶりである。
長い間ぶりてんコラムをお休みしていたのであるが、今日から復活す る事になった。
しばらく御無沙汰していたのは、実は肝臓がバクハツして入院してい たわけでも、ぢが悪くなって椅子に座れなかったわけでもなんでもな いただサボっていただけだ文句あるか。
しかし、先日週刊Nuts編集長の永田徹氏に面白い文章の書き方につい て御教授お願いしたところ、
「そんなことでウダウダ言ってるヒマがあるんなら、ぶりてんコラム かけよオメー」
と言われて復活を決意した。いやーこれでも少しは反省しているので ある。
さて私、実はサボっている間に引越しをした。Midtown Eastを飛び出 して、今はLower Eastside に住んでいるのだ。
引越してくるまでは、Lower Eastsideは”危ない所”ということぐら いの認識しかなかった。というのも80年代、ここには土地や建物自 体の価値が上がりすぎて放棄されたビルがあちらこちらにあり、そこ にパンクでハードコアな少年少女が住みついていたという、かなり荒 廃した所だったからだ。
しかし今、ここはかなりヒップな場所に変わりつつある。
グリニッジ・ヴィレッジからイースト・ヴィレッジへと移ってきたト レンドの流れが、そのすぐ下にある、ここLower Eastsideにも及んで きたのだ。
イースト・ヴィレッジとの境であるHouston StreetとLower Eastside のど真ん中・Delancey Streetとの間には、たくさんのバーやカフェな どがオープンし、週末になると、かなりの人でにぎわう。
と、同時に昔のなごりも強く残っており、東に行けば、道を歩いてい て聞こえてくるのはスパニッシュばかりである。私の部屋の前にもス パニッシュのレストランがあり、毎日人でいっぱいだ。
しかし、ひとたびDelancey Streetを南に下ると、そこはもう既にチャ イニーズのテリトリーだ。Canal Streetを中心に広がるチャイナタウ ンが徐々に徐々に北上し、もうすぐそこまで迫ってきているのである。
そう、ここLower Eastsideは今、トレンディーさと、汚さと、危なさ と、チャイナタウンが入り交じっているのだ。
ここで生活をはじめて毎日が楽しいのであるが、ひとつだけ、問題が ある。
自分のアパートの大家が中国人で、あまり英語が通じないのである。 キッチンと洗面所の下が腐っていて、さらに冷凍庫がぶっ壊れているの で直してくれ、と言いたいのだが、どうもうまく伝わらない。
ここはアメリカで、そして公用語は英語であるのにそれが通じないと いうのは、何とも厄介なことである。ま、それがニューヨークの面白い 所でもあるのだが・・・。
はぁー、今から中国語でも習おうかしら。
           智



7月6日号 NO.163
『たわごとコラム』
私が働く会社の近くに駐車場がある。47丁目のレキシントンとサードの 間。「丼屋」という日本食レストランの隣にあり、見た目はただのビルだ が、内部は立体駐車場になっている。
うちの会社の車もここに預けてある。したがって、私が車を使うときは、そ の駐車場まで取りに行くことになる。
1階にいるおじさんに自分の会社の登録番号を告げる。すると、そのおじさ んが上の階の人間にうちの車を下ろしてくれるよう連絡するのである。
車が下りてくるまでの間、私はよく車整理のおじさんたちをながめている。
次から次へと持ってこられる車に乗り込んで、エレベーターで上の階まで運 ぶのが彼らの仕事だ。
トヨタだ、フォードだ、ホンダだ、クライスラーだと、さまざまな車がやっ てくる。彼らはそれにすばやく乗り込んで、まるで持ち主であるかのような ふてぶてしい態度で乗り去るのである。
そしてそれを何度も何度も繰り返すのだ。
大変な商売である。と同時におもしろい商売でもある。
車には持ち主の個性が出るものだ。特に人の車を貸りで運転したりすると、 何やら自分がその人物になったような気がして、持ち主の人格・性格を内側 からのぞいてる感じがしたりする。
車の中というのは一種の密室であり、そこには「秘密の小部屋」的要素も あったりするから、その人の私生活がむき出しになりやすいのである。
てなわけで、この車整理のおじさんたちは、毎日毎日、たくさんの人間の個 性に触れてることになる。
毎日運転席の足元にマックのハッシュブラウンのかけらを落としていく人。 いつもハワード・スターンのラジオをガンガンにかけたままにしていく人。 朝は屁の調子がいいらしく、かならず匂いを残していく人。
そこにはさまざまな人間模様が残されているはずだ。
車整理のおじさんたちを見ながら、私はいつか彼らにそこのところを聞いて みたいと思うのである。
「人の車に乗ると、その人の個性がわかりますか」
「どんな人(車)がいますか」
「この仕事、おもしろいと思いますか」
きっと興味深い話が聞けるはずだ。
短編小説のネタになりそうな題材も出てくるかもしれない。
世の中、意外なところに意外とおもしろい話があったりするから、油断でき んのよね。
                     ひろ
               

「ぶりてんNuts」編集部


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