◆1998年3月第4週のぶりてんコラム◆
3月27日号 NO.126
『ニューヨーカーへの道』〜最初の基地探し4〜
ルームメイトという人種がいますね。
よく考えますと、日本では「他人とアパートをシェアする」ということがあ
まりないんですよね。この場合の「他人」というのは、ほんとの「他人」で
ありまして、恋愛関係や肉体関係がある人物及び友人は「他人」ではありま
せん。
ですから、こちらでアパートを探して、まったく知らない人、「ルームメイ
ト」と同じ屋根の下で暮らして始めるというのは、日本的感覚からすると結
構大胆なことなのであります。
で、こちらでは、それが男と女だったりしますから、すごいですね。
「すごい」という言葉を使いましたが、私もそういう状況になれば見も知ら
ぬ女性の方とルームメイトとして暮らせる自信はあります。「そういうこと
してもいいのよ」という雰囲気がここにはあるのです。
こちらの男女関係には、日本にはない「さばさば感」がありまして、ある意
味で、異性をプレーンな「人間」として見ることが日本よりも可能なんじゃ
ないの、などとわたくし考えております。日本では、異性をまず「異性」と
して見る傾向がありますからね。
ただ、アメリカ人すべてがそういうプレーンな見方ができるわけではなく、
街を歩く女性の後ろ姿を昼間っから堂々と下からジロジロナメ上げるように
見る男どももかなりおります。狼たちもいっぱいいるのです。
さて、男と女のルームメイト関係についてですが、一方で、これがときどき
恋に落ちたりしますからおもしろいですね。私も「ルームメイト」になった
ことが縁で結婚しちゃったカップルを数組知ってます。
日本ではなかなかお目にかかれない結婚のカタチなのであります。
でも、興味があるのが、単なる「他人」がそうでなくなる一線を越えた瞬間
の状況です。「何がきっかけでそうなってしまったの?」ということが知り
たいわ、とわたくしは強く思うのでした。
別にいやらしい意味じゃないんですよ・・・・まあ別にいやらしくてもいい
のですが、「アカの他人である異性との共同生活」という日本人にとっては
かなりのドキドキ感のある綱渡りから、どの時点ですべり落ちたのか、とい
うことなのであります。
皆さんも興味ありませんか?
でも、こういうことに興味あるんですから、私もやっぱり日本人なのであり
ます。
はい。
徹
3月25日号 NO.125
『おわびコラム』
これは最近、この「ぶりてんコラム」欄を激しく怠けておることに関するお
詫びのコラムである。
そうなのである。申し訳ないです。
一応、理由らしいものはあるのである。
私と「ぶりてんNuts」編集長の小林くんは、この1週間でふたり合わせて
54コのコラムを書くことになっている。「5コや4コ」ではない。漢字で
書くと五十四個である。
これは完全に仕事である。ここでかせいだ金は、ひじょーに近い将来、「コ
ミュニティ・ラジオ作戦」や「ポストカード作戦」にぶっこまれることに
なっている。
だからぼくらはがんばっている。でもそのせいで「ぶりてんコラム」がおろ
そかになっている。
いけません、いけません。
ついでに、近頃、「今週のタブロイド・ニューヨーク」というコラムが完全
に消えてしまっている。復活せねばなるまい。
これまたついでに、フロム・エーの「エネルギッシュ・アメリカ」という
コーナーの仕事も毎週あるし、最近日本で出た「カフェ」というマガジンで
の連載もある。
忙しいけど、軍資金は着実にたまっている。
でも、「ぶりてんコラム」をおろそかにしてはいけない。
わかってます、わかってます。
というわけで、私たちは決して投げやりになっているのではない。単にやた
らと力一杯忙しいのである。
だから、皆さん、もう少し我慢してください。
今後の作戦のために、お金をいっぱいかせいで戻ってきます。
それまでお留守番、よろしく。
ひろ
3月24日号 NO.124
『NYウエイター物語』〜仕事探し8〜
「権藤さんか・・・」
寿司政の求人広告には、その人の名前が載っていた。
「この人って、店長なのかなあ。それとも板前さんかな」
その寿司政の広告の部分に黒のボールペンで花びらを描きながら、おそらく
明日、話すことになるであろう権藤さんのイメージを私は頭の中で思い浮か
べようとした。
寿司政は、もともと日本の寿司屋らしい。そのニューヨーク支店でウエイ
ターを募集してるわけだ。
板前さんたちは、日本から来てる違いない。だったらきっと、ノリは浪花節
だろう。おそらくそうだ。そうに決まってる。
「あ〜あ、ニューヨークにまで来て体育会系の真似事かよ。やだやだ。やっ
ぱヤメようかなあ。でも、金ねえしな〜」
私はグダグダとそんなことを考えていた。
日本にいた頃から、あの「体育会系のノリ」というものについて行けなかっ
た。
みぐるしいほどの上下関係。理か通らないシステム。何かと言えば、「根
性、根性、ド根性」の精神論。それらすべてが嫌いだった。
その世界にまさかニューヨークで入ることになろうとは・・・
とりあえず、すべては明日だ。
キッチンにあるバスタブにお湯をためる。急に風呂に入りたくなったのだ。
湯船にドブリと身体を沈め、ゆっくりと股を開く。肉のヒダの部分にお湯が
しみていくのがよくわかる。そして、私はお湯につかったまま部屋の明かり
を消した。
窓越しに今日もトライボロウ・ブリッジがきれいに見える。
「は〜」
という溜め息のあと、私は目を閉じ、全身をお湯の中に沈めた。
ブクブクブク・・・
そして、すべてが真っ暗になった。
ひろ
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