◆98年1月第3週のぶりてんコラム◆
1月24日号 NO.92
『NYウエイター物語』〜仕事探し〜
お金が底をついた。仕事の好き嫌いを言える状況ではなかった。なんでもい
いから働かざる得なかった。
しかしながら、そこまで追い詰められてもウエイターはやりたくなかった。
そこで私は裏方役の皿洗い的な職を探すことにした。
そのレストランは、結構高級なことで有名だった。OCSニュースに「板前・
キッチン・ヘルパー募集」という広告を出していた。
板前になるつもりはなかった。狙いは、キッチン・ヘルパー。これだったら
お客の相手をしなくて済む。私はそう考えた。
早速電話してアポイントメントを取る。明日の午後3時半に来てほしいとの
ことだった。履歴書も必要だった。
こちらに来て履歴書など書いたことがなかった。早速私は紀伊國屋に買いに
走った。
96丁目から6番の電車に乗り、51丁目の駅で降りる。そこから東に歩い
た。
明日インタビューしに行くレストランは、紀伊國屋のすぐ近くにあった。
一応、下見を兼ねてそのレストランの前を通ることにした。
よく磨かれた窓ガラス。そこから中の様子が見える。
木目調の店内がその高級感を語っている。手前にコートチェックしてる人が
いて、「へえー、ああいう商売の人もいるんだな」と感心する。あとで分
かったことだが、コートチェックというのもなかなかいい商売らしい。
しばらく店の前に立って中をのぞいていると、働いてる人々の中で唯一背広
を着た男がこちらをジロリとにらんだ。その目は「何やってんだよ〜、おめ
えはよ」と私に語りかけてきた。
「こっちの勝手じゃねえか、働けよおめえ」と目で返事しようかと思った
が、そのレストランに明日インタビューしに来る身としては、ここは素直に
退散すべきであった。
ウエイター・ウエイトレスの平均年齢がやたらと高かったことと、その怒り
目の男が気になりながら、私は歩き始めた。
5番街の人込みが向こうに見えた。
ひろ
1月23日号 NO.91
『ニューヨーカーへの道』〜いざ、マンハッタンへ4〜
私が初めてマンハッタンに上陸した時の足跡をたどりますと、まあ、スタッ
テン・アイランドからサウス・フェリーに着いたのはさておいて、メイシー
ズの地下鉄駅から地上に出て、確か34丁目を西から東に歩いたような気が
いたします。
5番街まで来て、そこで左折、そのまま北に登ぼりました。
歩いていたのは、東側の歩道でした。これは確かです。
そして、その時、生まれて初めてアメリカの本屋さんに入りました。
この本屋さんは今でもあります。エンパイアー・ビルと42丁目の間のどこ
かの角にある、ちっさな本屋さんです。
わたくし、その本屋さんにいきなり入って、ある著者の本を探しました。
で、見つけたのです。うれしかったですね。
その人の名は、ピーター・F・ドラッガーといいます。アメリカの経済学者で
す。彼の本の邦訳版を日本で読んでたのです。
でも、彼の本を見つけた時のあの嬉しさは、どう形容したらいいのでしょう
か。それは単に「彼の本に会えた」という嬉しさじゃなくって、「日本で出
会った物に太平洋のこっち側のここニューヨークでも会えた」という、日本
とニューヨークでつながってる物を見つけた時の喜びってヤツでした。
以前、「週刊Nuts」の読者の方から、似たような投書をいただいたことがあ
ります。
彼女は、日本で「週刊Nuts」を読んだことがあって、それからニューヨーク
にやってきました。
でも、来た当初は、誰も知ってる人がいなくて、通い始めた大学でもなかな
か友人ができずに、ひとりさびしいニューヨーク生活だったそうです。
そんなある日、ふと立ち寄った紀伊國屋で「週刊Nuts」を見つけました。
「週刊Nutsのバックナンバーがずらりと並んでいるのを見た時、思わずガッ
ツポーズしてしまいました」
手紙にはそんなことが書いてありました。
また、その時の気持ちを彼女はこう表現しています。
「子供の頃、デパートの中で離れ離れになった母親の花柄のスカートを人波
の向こうに見つけた時のような気持ちでした」
私にとっての「母親の花柄のスカート」は、ある経済学者の本だったわけで
す。
あなたも「母親の花柄のスカート」を見つけた経験がありますか。
徹
1月22日号 NO.90
『Prof. New York』
インターネットの普及と共に、多くの人が気軽にE-Mailを使うよう
になりました。大学でも、タダでアカウントが取れることもあり、
ほとんどの生徒がE-Mail で友達や国の両親などとコミュニケーシ
ョンをとっております。
そんな学生達がよく、くだらないジョーク・メイルを転送しあって
楽しんでいるのですが、今日の『Prof. New York』はそのうちの
一つをご紹介したいと思います。
これはアメリカにいるアジア人を、かなりの洞察力で描き出して
いると思うのですが・・・、え?
手抜きするなって?
ちがう、これは手抜きじゃないんだあぁー・・・。
***********
「もしあなたが・・・」
もしあなたが日本人なら・・・
1、髪型、服装、自分の車を異常なまでに気にする。
2、白人男性と結婚したがる。(女)
白人女性が好きなのだが、なぜか韓国系、中国系
の女性に落ち着く。(男)
3、自分をアジア人だと思っていない。
4、黒人が恐い。
5、他のアジア人よりも優れていると思っている。
もしあなたが韓国人なら・・・
1、たむろって煙草をばかばか吸う。
2、Margaret Choの連続ホームコメディーが取りやめになったこと
を残念に思う。
3、対日本のことになると異様なまでのナショナリズムを発揮する。
4、黒人が恐い。
5、他のアジア人よりも優れていると思っている。
もしあなたが中国人なら・・・
1、世界で一番頭がいいと思っている。
2、ポケベルと携帯がないと生活できない。
3、今日の白飯は明日のチャーハン。
4、黒人が恐い。
5、他のアジア人よりも優れていると思っている。
もしあなたがベトナム人なら・・・
1、ニョクマムがないと生きていけない。
2、Pho(ベトナムうどん)のあるレストランしかいかない。
3、家族・親族をたどっていけば、必ず一人は中国人の親戚がいる。
4、黒人が恐い。
5、他のアジア人よりも優れていると思っている。
もしあなたがフィリピン人なら・・・
1、看護婦、警備員、会計士としての仕事がありながら、
ダンサー、歌手、又は役者になりたがっている。
2、国にいる家族、親戚の中に政治家かムービースターが1人はいる。
3、恐いどころか、黒人になりたがっている。
4、他のアジア人より優れているとかは気にしてない。
なぜなら、フィリピン人であるということ事体が
クールだから。
もしあなたがタイ人なら・・・
1、人々はあなたを売春婦(夫)だと思っている。
2、どんなものを食っても、脂っこいとも辛いとも思わない。
3、黒人は恐くない。なぜなら、自分も十分黒いから。
4、他のアジア人には決してかなわないと知っているが、
その劣等感と共に生きていく方法を知っている。
MediaBlitz
1月20日号 NO.89
『たわごとコラム』
パメラにとっての1分15秒が、今日もまたやってこようとしていた。
いつものように8時18分発のEトレインに乗り、マンハッタンへと向かう。
パメラが住むのは、クイーンズのフォーレスト・ヒルズ。そこからマンハッ
タンまでは、エクスプレスで17、8分だ。
通勤客でいっぱいの地下鉄の中で、手鏡を見る。
そこには、いつもの自分がいた。
彼氏はいない。
付き合ったこともない。
でも、自分では、十分魅力的だと思っている。スタイルだって、そこそこだ
し、友達からはよく「きれいだ」って言われる。
別にあせってるわけじゃないけど、やっぱり26だし・・・・
耳に微妙な圧力を感じる。今、この電車はイーズトリバーの底を通過しよう
としている。もうすぐ53丁目の駅に着く。
プラットホームには、人が溢れていた。いつもと同じ風景。
東に抜ける人、西に抜ける人が交錯する。パメラが働くオフィスは、パー
ク・アベニューにある。彼女は、レキシントン側のエスカレーターへと向か
う。
今日もそのエスカレーターに乗る。地上まで1分15秒。
地上からは、エスカレーターに乗って、次々と人が下りてくる。
別に知り合いを探してるわけでもないのだが、エスカレーターの乗客たち
は、なんとなく反対側の人々を見てしまう。
ときたま視線の合う人もいるが、何がどうなるわけでもない。両者はただ静
かに別々の方向に流れて行く。
地上へと向かうパメラは、自分が見られていることを感じている。でも、自
分では反対側の彼らを見ようとはしない。
数百の視線が自分の上を通り過ぎて行く。左頬にそれを感じている。
「私は見られてる・・・・」。
そして今日もその1分15秒が終わる。
右手の階段を上がれば、そこがレキシントン・アベニュー。
明日の1分15秒までの24時間が始まる・・・・・・
ひろ
1月19日号 NO.88
『NYC Traffic Jam』
「どこまで行くんだ?」
「25丁目と1番街のかどまで」
「オーケイ。・・・How are you doing?」
「Alright。 ・・・今日はいそがしい?」
「日曜の夜にしてはまあまあかな。明日マーティン・ルーサー・キ
ングス・デイで休みっていうのもあるけどな。・・・ったくこんな
せまい道に車止めるんじゃねえよ。前にすすめねぇじゃねぇか!」
「Take it easy. 急いでないから」
「本当は昼間しか働いてないけどよ。ほら、明日休みだろ、今夜は
けっこう人がいるんじゃないのかと思ってね。しかも今日は日曜だ
から、他のタクシーでてないしな」
「ふーん」
「最近あんまり稼いでないからな。ちょっと金がねぇんだよ。だか
ら、夕方ちょっと寝て、それからまたこうやってタクシー転がして
るんだ。」
「そう」
「1人目の客をサウス・フェリーで降ろして、その足でウエスト・
ヴィレッジを流してみたが今日のウエスト・ヴィレッジは死んでた
ぜ。それでそこからブリーカーストリートに行ったら、おまえさん
が手ぇ上げてたってワケよ」
「ふーん」
「でもよぅ、実はある女から、今日誘われてるんだよ。その女、俺
の同棲相手が今いないって知ってるからな。実際一ヶ月ほどいなか
ったんだよ。」
「そう」
「このパトカー何やってるんだよ。はやく走れよ!・・・だからそ
の女それを知ってて俺を誘ってるんだよ。」
「ふーん」
「この女とは前から友達でな、それ以上じゃなかったんだけど最近
なんかちょっと前とは違うんだ。へへへへ」
「へえ」
「でな、その女が fxxking sexy なんだこれがまた。俺よりも5歳
も若いし。胸なんか、こんなにでかいんだよ。俺も最近ムラムラき
てるからよぅ、やりてぇんだよ」
「そう」
「それでよぅ、稼がないといけないしでもやりたいし迷ってたら、
さっき俺の同棲相手から携帯に連絡があって今晩帰って来るってい
うんだ、突然。」
「ふーん」
「・・・こんな話聞きたくなかったら聞かなくてもいいんだぜ」
「いやきいてるよ」
「この同棲相手もいい女でよぅ。胸はないがスレンダーなんだ。今
良い関係をキープしてるんで、これも壊したくないんだよ。」
「そう」
「でも、この女とはもう3年も同棲してるんだぜ。わかるだろ、た
まには他の女とやりたくなる気持ち」
「そうね」
「だから今3っつの選択肢があるんだ。金がねぇから今夜一晩中稼
ぐか、浮気相手とやるか、素直に同棲相手の元に帰るか。どうする
んだよまったく。」
「たいへんね」
「・・・おう、もう25丁目と一番街の角だぜ。5ドル50セント
だ」
「じゃ、6ドルね。Good night」
「Good night」
あるタクシー運転手の悩みでした。
MediaBlitz
1月18日号 NO.87
『今週のタブロイド・ニューヨーク』
正確に言いますと、「先週」になります。
遅れまして誠に申し訳ございません。
さて最初は、ニューヨーク市長ジュニアーニ氏の新しい作戦についてお話し
しましょう。
1月15日付「Daily News」によりますと、ジュリアーニ市長は教育に関す
ることを中心にした新たな政策を発表しました。
その中には、パブリック・スクールの学期を一ヶ月延ばすとか、健康保険に
入れない中小企業の従業員への保険の提供などがあるのですが、私たち日本
人、特にこれからニューヨークに留学生として来る方々に関係があるのは、
ニューヨーク市立大学への入学基準が少し高くなるという件でしょう。
ここで、その記事を引用します。
■End open enrollment at the City University of New York,
replacing open admissions with tough entrance exams and higher
standards.
要するに、入学がむずかしくなるということですね。
今のところ、どのくらいむずかしくなるかは分からんのですが、これまでの
ようにスイスイ入るというわけには行かなくなりそうです。
このCity University of New York(CUNY)というのは、これまで貧乏学
生の救世主みたいな存在でした。市立ですから、他の私立大学に比べて授業
料かなり安いのですね。
私の場合も、日本食レストランで働きながらこのCUNYに通っていたのです
が、もしこれが私立だったらまったく無理でしたね。一年間に2万ドルのエ
クストラ・マネーは稼ぎ出せません。
私のパターン、「日本食レストランで稼いだチップ→CUNYの授業料」で大学
に通ってる日本人留学生というのは、結構な数おりまして、ある意味で貧乏
学生の基本技なのであります。
そのCUNYが入学基準を高くするというのですね。
まあ授業料が上がるわけではありませんから、金銭的ダメージはないのです
が、日本ではなかなかできない「なんとなく勉強してみたいから大学に行こ
うかなあ」的入学が許されなくあるというのは、ちょっと気になります。
今後の展開を見守ることにしましょう。
徹
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