◆1998年12月第2週のぶりてんコラム◆
12月10日号 NO.205
『ニューヨーカーへの道』〜アルバイト探し3〜
ニューヨークで発行されている日本語情報誌の求人欄などで、ときどき日
系企業のオフィスワークのアルバイト募集を見かけることがあります。
将来ニューヨークに残ろうと思ってる人にとっては、こういう求人は非常
に重要な意味を持ちます。なぜなら、それは日系企業に潜り込むための絶好
のチャンスになり得るからです。
ニューヨークでの職探し、この場合はアルバイトではなく、仕事としての
職探しなのですが、それに関しては、現実にはかなりキビしいものがありま
す。
まず第1に仕事がないんですから。
日本みたいに毎年何人採用するっていうのもありませんし、「ポジション
が空いたら求人を出す」的な補充スタイルが一般的だと思います。
そういう環境では、「ポジションが空いたら求人を出す」の「ポジション
が空いたら」情報をいかに早く手に入れるかが、ジョブ・ハンティングの重
要なポイントになります。
理想的なのは、その場にいること、つまりアルバイトとして潜り込んでお
くことです。そしたら一番に手を挙げることができますからね。もしかした
ら、その会社が求人広告を出す前にケリをつけることさえ可能なのでありま
す。
もしすでにそこを辞めていても、情報のパイプをしっかりキープしておけ
ば、素早く動くことができます。
また、ニューヨークの日系企業の傾向として、「身内に手を出す」という
ことが挙げられます。
これは別にヤバイ意味での「手を出す」ではなく、欠員を補充する場合、
今現在アルバイトしてる子とか、昔アルバイトしてた子にとりあえず当たっ
てみる、という意味での「身内に手を出す」なのであります。
「日本語情報誌に求人広告を出すのも面倒だし、来る人がいい人材である
とも限らないわけだし、そしたら近場のこの子またはあの子を採用したほう
が楽だし、確実だべ」
そういう思いがあるようです。
というわけで、学生のうちから日系企業に潜り込んでおくことは、将来の
ためにもとっても大切なことなのであります。
卒業後、ニューヨークに残りたいとお考えの方は、今から積極的に潜り込
むことをお勧めします。
もし、あなたが今アルバイトしてる会社が社員を募集し始めて、その時あ
なたに声がかからなかったら、それは会社からの「あんたはダメね」という
間接的意思表示になります。
そういう時は、その会社とは縁がなかったと考えて、日系書店にOCS
NEWSを買いに走りましょう。
ちなみに、嫌味で応募するという復讐方法もありますがね。
徹
12月7日号 NO.204
『NYウエイター物語』〜開店2〜
「まだ5時25分じゃない。ったく、来るのが早いのよ」
更衣室でホームレスのチンチンの話をしてたチヨさんが、自分の腕時計を見
ながらそういった。
そこはウエイターとウエイトレスのためのステーションだった。計算機やお
つり用のトレーなどが置いてあった。
「今日も始まんのか」
遅刻してきたヨシくんが面倒くさそうにいった。
「何いってんのよ、若いくせしてさあ。シャキっとしなさいよ、シャキっ
と」
「チヨさんっていつも元気だよなあ。何食ってんの?」
「何食ってるじゃないわよ。こんなの気合いの問題よ。ほら、あの客、ヨシ
くんのとこに行くんじゃない」
「え? ホント? チヨさんは今日どこよ?」
「カウンターの1から9」
「10から18は?」
「カヨちゃん」
「メグロさんは?」
「ヨシくんの隣りよ」
「ゲッ! メグロさんの隣りかよ」
「ヨシ、なんかいったか」
「ゲッ! メグロさん、いたんですか。いや〜」
「ったく」
私をそこに残して地下に下りていったメグロ氏が知らない間に戻ってきてい
た。
「オレ、忙しいんだから、さっさと準備しろよ」
「ほら、怒られた。もうそろそろお客さん行くわよ」
チヨさんがいった。
「あの客はカウンターだよ」
「メグロさん、あの客知ってんの?」
「ときどき来るよ。女連れで」
「あ、あの派手な人?」
「そうそう、もろそれ系の。不倫だって話だぜ」
「メグロさん、なんでそんな話知ってんのよ」
「風の噂でね」
「え? ナニナニナニ? チヨさん、ナニ?」
「ヨシくんはさっさと準備しなさい」
彼らの話を聞きながら、レストランの裏側ではこんなカンバセーションが展
開されているのだなあ、と私はしみじみ思ったのである。
ひろ
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