◆今週のぶりてんコラム◆
1月10日号 NO.81
『NYウエイター物語』〜軌道修正〜
実は、そのスーパーでベーコンと食パンを買った後、私はそこのボスに「や
とってよ」とお願いしたのである。
そして、見事にやとわれちゃって、時給4.5ドルで働き始めることになるのだ
が、その話に入ると、永遠に「ウエイター物語」にならないので、ここで
「地獄の門ストリート」とはオサラバすることにする。
そこでの出来事については、またあらためてお話ししたい。「地獄の門スー
パー物語」。そんなタイトルではどうかな。
ところで、私は日本食レストランで働くことがイヤだった。
ニューヨークに来てから、ここの日本食レストランに関するいろんな噂を聞
いていたが、どれもこれも好ましいものではなかったのだ。
偏屈な板前が多いだとか、ウエイター業にズルズルはまっちゃって抜けられ
なくなるだとか、私の中の業界イメージとしては、まさにクラ〜イ世界で
あった。
また、私自身、客商売が嫌いだった。
その数年前まで、人嫌いで離島に逃げていたこともあり、まだ人間慣れして
ないこともあった。
ここの日本食レストランに行く度に、ウエイター&ウエイトレスたちを見な
がら、「この人たちはニューヨークに来て、一体何をやっているのかしら。
ウエイターなら日本でもやれるじゃないの」などと考え、はっきり言って見
下だしていた。
その頃私が日本食レストランのウエイター&ウエイトレスたちに対して持っ
ていたイメージを簡単に説明するとこうなる。
「毎日毎日レストランで働いて、他に何をやるというわけでもなく、暇な時
は酒を飲むかドラッグやるか、イーストビレッジあたりに住んで、自分たち
の世界に閉じこもって、水商売から足を洗いたくてもなかなか抜け出せず、
日本に帰るにも帰れず、ドンドン追い詰められてって、だから何に対しても
悲観的で、自分の存在を肯定させるために他者を否定、つまり、人の悪口
ばっかり言って、ケツの穴と世界観がやたらと小さい人々」
そういう人たちがいっぱいいると思ってた業界に入っていくには、かなりの
勇気が必要だった。
しかしながら、ウエイター業が金になることも事実だった。
そして、今日も私はOCSニュースとにらめっこするのであった。
ひろ
1月8日号 NO.80
『Professor New York』
彼の名はシドニーだった。
同じアメリカ史のクラスをとっていた私たちは、いつのまにか友達
になっていた。
彼に何人なのかとたずねたとき、シドニーは自分はカンボジア出身
だといった。私が、そうは見えないと言うと、それは自分の祖父が
中国人だからだ、彼はと答えた。
シドニーはいつも図書館で勉強していた。哲学専攻だった彼は、い
つもたくさんの本を積み上げ、それを読んでいた。
哲学は面白いか、と聞くと、にこっと笑い、面白いね、と答えた。
でも、自分は本当はサイエンスが勉強したいのだ、と彼は付け加え
た。
サイエンスを勉強したいにもかかわらず、シドニーが哲学を専攻し
ていたのには理由があった。彼にとってサイエンスを学ぶという事
は、日本人である私がそれを勉強するこことは、まったく違った意
味を持っていた。
シドニーは小学校教育を受けたことがなかった。
カンボジアの政治はいつも不安定だったのに加え、彼の家は貧しく
、学校に行って教育を受けるどころではなかった。始めて学校に行
ったのは、12歳のとき家族とタイに亡命してからのことだった。
だから、サイエンスの基礎をまったく知らない、と彼は笑った。
シドニーはいつも、日本に行ってみたい、と言っていた。新聞で読
んだこと、テレビで見たことを私に質問してきた。
一度、彼に言ったことがある。私も、カンボジアに行ってみたい、
と。
すると、シドニーは複雑な顔をして言った。
カンボジアはそんなにいい国じゃないよ。
その時の彼の顔が忘れられない。
MediaBlitz
1月7日号 NO.79
『ニューヨーカーへの道』〜いざ、マンハッタンへ2〜
前回お話ししましたように、マンハッタンは島なのであります。
ということは、そこに渡るには「橋」「トンネル」「フェリー」「泳ぐ」
「飛ぶ」などの方法が考えられますが、現実的には前者ふたつでしょう。
以前、マンハッタンの東側を流れるイーストリバーを船でのぼり下りしたこ
とがありますが、なかなかスルドい流れをしておりました。おしゃれに渦を
巻いてるところもあったりして。
この状況ですと、スイムでのマンハッタン入りは不可能と考えるべきです。
以前、内田裕也さんがイーストリバーを泳いで渡ろうとして溺れそうになっ
たという話もありますからね。
そのイーストリバーですが、ある意味で非常にニューヨークらしい川であり
まして、数多くの人々がコンクリートづめにされて川底に眠っているという
噂もありますし、数年前にはハーレムあたりを通過中のイーストリバー観光
船に乗ってたドイツ人の方が、流れ弾に当たってなくなったという話もあり
ました。
もし、この観光船に乗ってる最中に銃声が聞こえたら、とりあえず伏せてく
ださい。
松田聖子が歌いながら歩いたブルックリン・ブリッジも、このイーストリ
バーにかかっております。
反対側、つまりマンハッタンの西側にあるハドソン川に比べますと、かかっ
てる橋の数が違いますね。イーストリバーの方が断然多いのです。
おや、こんな時間になってしまいました。お仕事にいかねばなりません。
続きは来週に。
徹
1月6日号 NO.78
『たわごとコラム』
それにしても、この年末年始の日本人の観光客の多かったこと。日本はホン
トに不況なのかよ、と思ってしまった。最近、ニューヨークがやたらと安全
になって、さらに増えたような気がする。
若い女性の二人連れ、あるいは3人連れが多かった。ある時は、2ブロック
行く間に50人ぐらいの日本人観光客とすれちがった(団体客じゃなくて
よ)。それと、結構おじさんおばさんたちの姿も見たな。
今日も今日で、タイムズ・スクエアの46丁目と47丁目の間のマクドナル
ドの前で、日本人のおばさんふたりがこんなことを話していた。
「マクドナルドだと、チップ払わなくてもいいから楽よね」
「でも、日本にもあるしねえ」
「そうねえ、ニューヨークに来てまでマクドナルドじゃねえ。でも、あの
チップはやっぱり面倒よ」
「じゃあ、ここにしよか」
「でも、やっぱりマクドナルドじゃねえ・・・」
彼女たちは深く悩んでる様子だった。
でも、日本人のおばさんふたりが、タイムズ・スクエアのマクドナルドの前
で入るか入るまいか悩む風景というのは、なんとなく味わいのあるもので
あった。
彼女たちは別に入るのが怖くて悩んでいたわけではない。「ニューヨークに
来てまでマクドナルドじゃ気合が入らないぜ」的な非常に能動的な悩みだっ
たのだ。
マクドナルドなどチェーン店が世界各地に進出してくれたおかげで、各都市
の共通項が増えてきた。
「ニューヨークに来てまでマクドナルド?」
「ボストンに来てまでダンキン・ドーナツ?」
「ロスに来てまで吉野屋の牛丼?」
今後、アメリカの小売業が日本に進出するに従って、このような強気の日本
人観光客がどんどん増えることだろう。
そのうち、ニューヨークのそこら中からこんな日本語が聞こえてくるはず
だ。
「ニューヨークに来てまで・・・・・じゃあねえ」
ひろ
1月5日号 NO.77
『NYC Traffic Jam』
混んでいる地下鉄に乗って座れないとき、私はたまに誰の前に立つ
か、という事を考えることがあります。
それは、可愛いおねーちゃんの前に立ちたい、とか、ガキどもは鉄
砲魚のように唾をピュッピュッ飛ばすからその前だけは避ける、と
いう事ではありません。
どの「人種」の前に立つのか、という事なのです。
特にブロンクスに住んでいたときに、それをよくしてました。
その頃利用していたのが1番の地下鉄。マンハッタンのミッドタウ
ンからからブロンクスまで、この1番電車を利用すると約40分か
かります。
疲れていたらやはり座りたい。だからここでどの「人種」の前に立
つのか、というのが重要になってくるのです。
例えば、ミッドタウンから1番に乗ってブロンクスの終点まで行く
とします。
夕方の5時を過ぎるとタイムズ・スクエアから北上する1番電車は
、日本ほどではないにしろ、混むんだなこれが。しかも、電車の中
は人種のごった煮状態。
そこでまず、この人種を三つに分類します。
白人、黒人、ヒスパニック。
それから、ミッドタウン以北の地域も大まかに3つに分類します。
南から順番にアッパーウエストサイド、ハーレム、そしてマンハッ
タン島北端及びブロンクス。
人種がかたまって住むこのNYでは、この3つの人種と3つの地域
が、ものごっつ重要なのです。
白人はだいたいアッパーウエストサイドに住んでいます。そして、
黒人はハーレム、ヒスパニックはマンハッタン島北端及びブロンク
スにかたまっています。
ここまで言えば、もうおわかりでしょう。
そう、白人、黒人、ヒスパニックの順に降りていく、という傾向が
この1番電車には見られるのです。
ですから、疲れて電車に乗ったが座る場所がない、さあどーする、
というときにはススッと白人の前を陣取るのです。あとは、白人さ
んがアッパーウエストサイドで降りた後のシートに自分のケツをす
ぽっとハメるだけです。
そして、歩き回って疲れた足をのばして、買ってきた本を読むもよ
し、ウォークマンの音楽に集中するもよし。今のNYなら、居眠り
さえ出来るのです。さあ、あとはブロンクスまで地下鉄の旅をゆっ
くり満喫・・・
という予定なのですが、たまにこれが狂うことがあります。
ブロンクスの中に、リヴァーデールという高級住宅地があり、白人
がそこに住んでいるのです。
もし、一番電車がハーレムに突入しても、前に座っている白人に降
りる様子がなければ、それはもう座るのはあきらめるしかないので
すね。
このように、ニューヨークの1番電車の中では、人種と住んでいる
所の関係がはっきりと出てきます。あなたも、自分の利用する電車
の中をよく観察してみてはいかがですか。
何か面白い発見があるかもしれません。
MediaBlitz
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