◆今週のぶりてんコラム◆




1月3日号 NO.76
『今週のタブロイド・ニューヨーク』
今朝、突然友人から電話をもらいました。
「昨日のDaily News読んだ? 日本でまた8人死んだらしいぞ」
よく聞いてみますと、1月2日付「Daily News」に、日本で餅食って8人が 死亡、2人が重体という記事が載っていたとのことでした。
私は答えました。
「ああ、ライスケーキ(餅のこと)食って死んだんだろ。いつものことだ よ」
「いつものこと? 毎年死ぬのか?」
「そう、毎年死ぬ」
「それでも日本人はライスケーキを食うのか。・・・・・わからん」
そう言われてみればそうなんですよね。
私たちは毎年必ず餅を喉につまらせて死んだ方々のニュースを耳にします。 恐ろしいことに、一種冬の風物詩的な味わいがあります。「冬なんだなあ」 などと感じたりなんかして。
日本中が、「ま、しゃーないわな」と変に納得しておるのですね。
この感覚がアメリカ人には理解できないようです。
もしアメリカで同じ事が起きたら、すぐ「餅販売禁止」になりそうな気がす るのですが、いかがなものでしょうか。
というわけで、この話を聞いて急にきなこ餅が食べたくなりました。近くの サンライズ・マートでサトウの切り餅でも買ってくることにしましょう。
                         徹



1月2日号 NO.75
『NYウエイター物語』〜地獄の門のスーパーにて1〜
ウエイターの物語のはずが、知らない間にスパニッシュ・ハーレムのスー パーの話になっている。引き返すのもなんだから、とりあえずこのまま進む ことにしよう。
私は、生鮮食料品、つまり、肉とか魚とか野菜のコーナーを回り終え、別の 通路へと入って行った。
缶詰、ペットフード、香辛料、パスタ、ドレッシング、冷凍食品、菓子、ベ ビーフードなどなど。
特筆すべき点は、スパニッシュ・フードの基本である豆や香辛料の充実度で ある。様々なお豆さんたちが彩り豊かに並んでいた。
この辺り、要するにレキシントン・アベニューから東の115丁目近辺のマ ジョリティーは、ドミニカン及びプエルトリカンである。
彼らの主食は、米と豆。英語で言うとライス・アンド・ビーンズ。
ルックス的には、日本のカレーライスに近いものがある。ひらべったい皿に 片側にライス、もう片側にビーンズを乗せ、それをフォークとナイフで食べ る。
同じ「ライス&サムスィング」スタイルのタイ料理の場合は、フォークとス プーンであるが、スパニッシュ料理の場合は、あくまでもフォークとナイフ を使うようだ。
ちなみに、私は絶対に「フォークとスプーン」派である。なんと言っても、 スプーンでぐっと飯をすくうときの幸福感といったら、あのすき間だらけの フォークとは比べものにならないのである。
また、「フォークとスプーン」の場合は、両手で食べることも可能である。 反対に、一度、肉にナイフを刺してそれを口に運んだら、えれぇ〜怒られ た。
話を戻そう。
一通り見て回って、私は最終的にパン売り場にたどり着いた。結局、私の食 生活にその時点で直接的に関係があるのは、食パンのみであった。
「ワンダー・99セント」。
日本のものよりもふたまわりほど小さい食パンが、約30枚ほどが入ってい た。
柔らかい。異常な柔らかさである。そして、この柔らかさは数日間維持され る。
それはまさに「ワンダー(Wonder)」なパンであった。
                         ひろ



12月31日号 NO.74
『ニューヨーカーへの道』〜いざ、マンハッタンへ1〜
さて、空港からマンハッタンに入ることにしましょう。
地図でご覧になると分かるのですが、マンハッタンというのは、人の右足に 墨を付けて、それをふにゅっと紙に押しつけたらこんな感じになるんじゃな いかしら、という形をしております。
ただし、その足の指で一番長いのは親指になります。それも異常に長い。
で、細身の足の裏ですね。
アメリカ人の中には、こういう足の裏をした人が多いです。やはり世の中 うまくできております。
マンハッタンというのは、基本的に「島」ですから、そこに渡るには、橋、 あるいは、トンネルをくぐらなければならないですね。
でも、いざ暮らし始めますと、自分が島民であることをすっかり忘れてしま います。わたくしも、今この文を書いたことによって、自分が島民であるこ とを思い出しました。
私が以前沖縄で住んでおりました島の人口は、200人でございました。信 号機ナシ。無免許運転者多数。たまに、沖縄本島から役人さんがやって来る 時など、島中に鳴り響くスピーカーで、
「本日、本島からの見回りがあります。ナンバープレートのついてない車 は、ただちに裏の浜に隠してください」
と区長さんが放送しておりました。
ちなみに、この区長さんも無免許運転者のひとりでした。
話を戻します。
詳しい数字は分かりませんが、おそらくマンハッタンには約百万人ぐらい住 んでいるのではないでしょうか。そのくらいの手ごたえがあります。
確か、沖縄本島の人口もそのくらいではなかったですかね。ということは、 あの沖縄本島をぎゅっと縦30キロ、横3、4キロぐらいに縮めた感じにな るのであります。そう考えますと、ものすごい人口密度です。
実際、沖縄本島をぎゅっと縮めますと、人間とハブとヤンバルクイナが肌寄 せ合って暮らす風景というのが展開されるはずですが、ここマンハッタンで はすべてが人間、ただし、その中にはハブの毒を持つヤツもいますし、ヤン バルクイナのような天然記念物的人物もおります。
生命体の集団というのは、どこでも似たような役割分担があるのですね。
続きは来週にでも。
                         徹



12月30日号 NO.73
『たわごとコラム』
12月29日付けのYahoo Japan「今日のおすすめ」コーナーで、「週刊 Nuts」のホームページが紹介された。
以下はその紹介文である。
「週刊Nuts」 オルタナティブ・マグの世界4 -ニューヨークで発行される日本語のマグ。残 念ながら実物を見たことはないのだが、ウェッブに全部記事が出ているよう だ。NYでの生活を実感させる記事とライトなページ作りで楽しめる。正統派 の地域情報誌で、オルタナティブとは言えないかな。
「オルタナティブ・マグ」とは一体何のことだろうか。「ミニコミ」という 言葉のオシャレ版かもしれない。
いやいや、それにしても「正統派の地域情報誌」ときたもんだ。こういう言 われ方をしたのは、「週刊Nuts」の歴史上初めてである。
これまで「週刊Nuts」は、あくまでも邪道派だとばかり思っていた。
紙一枚だし、3つ折りにしてレストランとか本屋さんに立ててあるわけだ し、便利な情報なんか、まーったく載ってないのである。
その「週刊Nuts」をつかまて「正統派」とは、一本取られましたな。
でも、もしかしたら、ホントに「正統派」なのかもしれないぞ。
私もいろんなミニコミを知っているが、「週刊Nuts」のようなミニコミ、要 するに「オルタナティブ・マグ」ですね、おそらく、そういうものには出 会ったことがないのである。
そんなわけで、「他のミニコミたち」=「正統派」、「週刊Nuts」=「邪道派」 と思っていたのだが、よく考えてみれば、その逆、つまり、「他のミニ コミたち」=「邪道派」、「週刊Nuts」=「正統派」の可能性もあるのです ね。
まったく新しい発見だ。
今度から「正統派の地域情報誌”週刊Nuts”」と宣伝しようかしら。
でも、「正統派」などと呼ばれると責任重大みたいでこまってしまう。
やっぱり「邪道派」のほうがよろしいのであります。
はい。                      ひろ



12月29日号 NO.72
『NYC Traffic Jam』
先日、久しぶりに会った元ルームメイトと夜遅くまでヴィレッジで酒を飲んだ 私は、地下鉄のホームで電車を待っていた。
反対側のホームでは、下りの電車のドアが閉まり、轟音を立てて走り去ってい く。その人気のないホームに静寂が戻ってきた時、その元ルームメイトは言っ た。
「そういえば、チョロが死んだよ」
唐突なことでびっくりした私は彼の方に視線を移したが、その元ルームメイト は地下鉄のレールをただ見つめていた。そして、静かに語りはじめた・・・。
旅行代理店に勤めている彼は、その日珍しく早めにアパートに帰ったという。 いつもは一も二もなく同意する飲みの誘いも、その日に限って、なぜか断った。
彼の部屋へと続く階段を下りドアを開けると、チョロはいつもどうり前足で住 処である水槽のガラスをカリカリと掻いていた。しかし昨日と違い、その行動 に元気がなかった。
不思議に思って彼がチョロを右手の平に乗せると、もう半死半生だったという 。ドワーフという種類のハムスターであるチョロは、その小さな体で大きく呼 吸をしていた。
電話帳で動物病院を見つけ電話をかけるが、獣医は無機質な声で言った。「ハ ムスターはどうすることもできないよ。それに2年も生きたんなら、もう寿命 だよ」
彼の手のひらの上で、横たわるチョロ。足から、だんだんと毛の色が灰色っぽ くなっていくのがわかる。
時計が朝の8時をすぎた頃、呼吸がだんだんと速くなり、そして最後に大きく 息を吸い込んで、動かなくなった。キャビアのような小さな黒い眼にもう生気 はなかった。
「でも、最後に死に目に会えてよかったと思うよ。別に胸騒ぎがしたわけじゃ ないけど、あの日まっすぐ家に帰ったのは不思議といえば、不思議だな。」
元ルームメイトはこちらに視線を移しながら言った。
私はこのとき、偶然では片づけられない何かがあるような気がした。誘えば、 いくら疲れていても必ずついて来るほどつきあいの良い彼が、この日に限って それを断った。
「人間にはやはり第六感がある」というつもりはないし、「彼には霊感がある のだ」というつもりもない。でも、その現象の否定を科学的に証明できなけれ ば、それが起こりうる可能性は有るのではないのだろうか、とも思うのだ。
チョロが死んでから、彼は公園に行った。寂しくないように、いつでも人があ ふれている所に埋めてやりたかっのだ、と言った。
子供が遊んでいる場所から少し離れたところで穴を掘っていると、彼の周りに 人が集まりはじめた。何人かの子供は、彼に指を差し、ひそひそ仲間と話しを していたという。
多くの人が、遠巻きに彼の様子を伺っていた。不審な行動をしている彼を、明 らかにいぶかしんでいたのだ。
突然、その中の一人、中年の女性が近づいて来て、彼を見下ろしながら言った。
「そんな所で何をしているの?」
穴を掘る手を休めず、彼は自分のペットであるハムスターが死んだのでこれか ら埋めてやるのだ、と説明した。
すると、その女性は彼と同じように地面にしゃがみこみ、彼の目を見つめなが ら言った。
「安心しなさい。このハムスターは寂しくないのよ。必ず、ジーザスがついて いてくれるから。」
そう言ってその女性は一緒に穴を掘りはじめた。彼女に続くように、周りにい た大勢の人が、穴を掘るのを手伝い、チョロの最後を見送ってやったという。
地下鉄のホームにはだんだんと騒音が響き始めていた。
話し辛くなって来たところで元ルームメイトは「あいつも最後幸せだったと思 うよ」と言い、にっこり笑った。
電車の轟音でもう何も聞こえなかった。
ただ、元ルームメイトの肩越しに、6番電車が近づいて来ているのだけが見え た。
                        MediaBlitz


12月28日号 NO.71
『今週のタブロイド・ニューヨーク』
正確には、「先週」のタブロイドになります。 遅れまして、反省。
先週のニュースとしましては、なんと言っても「Seinfeld」でしょう。
在米日本人の間で「唯一わしらが笑えるコメディ」という評判だった「 Seinfeld」がこのシーズン(来年の5月まで)をもって終了することになり ました。
「Daily News」は12月26日付第1面にこのニュースを持ってきておりま す。
確かにおもしろかった。
毎回、出演する4人のキャラクターそれぞれにストーリーがあり、つまりい つも4つのストーリーが同時進行するのですね、最終的にそれらがうまく絡 み合うという、なかなかスマートな作りをしておりました。
笑いに関しても、見え見えの暑苦しいジョークではなく、普通の生活の中に あるちょっとした笑いを取り上げておりました。
それがまた良かったのです。
残念です。
続いては、Woody Allen(ウッディ・アレン)の結婚のお話。
Woody Allenが元恋人の娘(アダプトだけど)と付き合っていたのは、皆さ んご存知ですね。
このふたりがとうとう結婚いたしました。
12月26日付「New York Post」には、Woodyがその新妻であるSoon Yi Previnの頬にキスしてる写真が掲載されておりました。
わたくしがウエイターをやっておりました頃、そのレストランにこのふたり がよくやってきました。
Woodyは刺身しか食べません。それもフツーのもの、マグロとかハマチとか しか食べないのですね。
一方のSoon Yiは、手巻き寿司しか食べません。これもフツーのネタばかりで した。
Woodyは、おそらく変態でしょう。普段も映画と同じようにオドオドモジモ ジしゃべります。人の目は見ませんしね。
でも、彼が作る映画はおもしろい。
天は二物を与えず、といったところでしょうか。
ある意味で、非常に彼らしい結婚だったと思います。
                        徹

「ぶりてんNuts」編集部


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