◆97年12月第4週のぶりてんコラム◆




12月26日号 NO.70
『NYウエイター物語』〜金がないぞ3〜
まあ、それはごく普通のスーパーだった。
93丁目にある「Key Food」よりは確かに安かったが、外観その他は至極そ の辺のアメリカの「スーパーマーケット」であった。
ただ、ドミニカ共和国産の「プレジデンテ」というビールが山ほど積んであ るのが目に付いた。この辺りはドミニカンが多いからね。
タラタラと壁側の通路を歩く。
スーパーにはそれなりの決め事があったりなんかして、日本では通常、青果 コーナー、つまり野菜類から始まって鮮魚、精肉と移っていくのだが、この スーパーではいきなりトイレットペーパーから始まっていた。
その紙の壁の前をつらつら歩いていくと、突然ベーコンが現われた。
ベーコン、1.99ドル。安いではないか。これで4日は暮らせる。すかさず1 個手にする。
次に、カチコチに冷凍された魚に出会った。それはまるで化石のようだっ た。ルックス・ライク・シーラカンス。
そして再び精肉コーナー。鮮魚と精肉の間にメリハリのある境界線がないと いうのが、いかにもアメリカらしかった。ま、鮮魚なんてないに等しいから ね。
最後に、青果コーナー。ここはなかなかの充実度を示しておってですね、そ れなりの品揃えを展開していた。
とりあえず、その時点で私が手にしていたものは、1.99ドルのベーコン。で も、よく見たら、油ばっかりのような気がする。でもでも、1.99ドルという 事実は変えられない。
そのベーコンを握り締め、私は他の通路へと踏み込んで行った。
                      ひろ



12月25日号 NO.69
『ニューヨーカーへの道』〜空港にて3〜
どのガイドブックを見ても「イエローキャブ」と「白タク」の話が出てきま すね。
「ぼったくりに気をつけて」というのが、全体の論調であります。
やはりこの黄色と白をどう扱うかによって、その後のニューヨーク生活の展 開が決まる、と言ったら見事に過言です。
そんなタイソウなことではありません。
ところで、わたくし、ニューヨークに来た時、「白タク」というのは、てっ きり白いものだと思っておりました。
白タクにだまされる日本人が減らないのは、各ガイドブックがその点に言及 してないからではないでしょうか。
皆さん、白タクにはいろんな色がありますからね。気をつけてくださいね。
ニューヨークのガイドブックが黄色&白について言及してない点をもうひと つ挙げますと、「絶対絶命時の対処法」というものがあります。
ご紹介しましょう。
黄色あるいは白によってどこかへ連れ去られそうになった場合、特に女性の ケースですね、その際の戦い方というのがあります。
ただ、この技は基本的に禁じ手ですので、絶対絶命時以外では使用しない方 がベターです。
そこのところ、しっかり覚えておいてください。
まず、1.5メートルほどのヒモ、それも丈夫な物をあらかじめ用意しておきま す。
さて、あなたは今、黄色あるいは白によって、わけのわからんところに連れ 去られようとしています。
車は、ドンドン市街から遠ざかりつつあります。
あなたは、思います。
「や、や、やばい」
運転手に何を言ってもただニヤニヤ笑ってるだけです。
そこで、バッグからそのヒモを取り出します。
ニューヨークのイエローキャブは、普通、運転席と後部座席の間に仕切りみ たいなものがあります。でも、これは半分くらいは開くのですね。
これをオープン状態にしておかないと、何もできません。なんとか開けてく ださい。
ゴーするタイミングというのは、必ず車が走ってる時でなければなりませ ん。
さて、シクシク泣く真似か何かして相手を油断させます。
で、その瞬間に後ろからそのヒモを相手の首に巻き付けます。そして、手前 あるいは下方向に強く引くのです。
相手はおそらく、いや、かなりビックリするでしょう。
(当たり前じゃ。)
いきなりブレーキをかけてくるかもしれません。それに対する心の準備を忘 れないように。
これで車がどこかにぶつかってしまえばこっちのもの。サッサと逃げてくだ さい。クラッシュの際のポイントは、ぶつかる瞬間にヒモを放すことです。
最後にもう一度言っておきますが、これは核兵器みたいなもので、使う際は 相当な覚悟を必要とします。
でも、ただただなすがままにレイプされたり、身ぐるみ剥がれたりすること は避けられます。
ちなみに、ヒモがない場合はベルトでも代用できます。
皆さんが、この技を使うことなく、無事ニューヨーク入りすることを祈りな がら、今回はコンピューターをスイッチ・オフすることにしましょう。
                       徹



12月23日号 NO.69
『たわごとコラム』
今から10年前の12月25日、クリスマスの日、私は沖縄の残波岬に立っ ていた。
その日は、雲ひとつない快晴だった。降りそそぐ日差しは、まるで夏のよう だった。ジリジリと肌が焼けるのを感じた。
目の前には、東シナ海がどこまでも広がっていた。風はなく、海は鏡のよう につやつやしてた。
上半身裸になり、サングラスをかけ、私はしばらくの間、その海と空を見つ めていた。
そう、あれは今から10年前のハナシ・・・・・
昨日、アラレが降る中、「週刊Nuts」を配達しながら、私はその日のことを 思い出していた。
ふと通り過ぎたロックフェラーセンターのクリスマス・ツリー。5番街を まっすぐ下がったところには、エンパイヤービルが見える。
すれちがう人々は、あったかそうなコートに身を包んでいた。
空を見上げたら、アラレが眼鏡にはじけた。
眼鏡を拭き拭き、Nutsがアラレで濡れないように懐にバックを抱え、私は5 番街を小走りに南へと下りて行った。
思えば遠くへ来たもんだ・・・・・・
                          ひろ



12月22日号 NO.67
『NYC Traffic Jam』
先日、ブロンクスで人が殺された。
新聞を買った帰りに、ガキのけんかに巻き込まれ、一人の撃った拳 銃の弾が背中から心臓に達したのだ。
あるタクシーの運転手が、かつて私に言ったことがある。今、ニュー ヨークで夜、一番行きたくないところはブロンクスであると。
「俺はブロンクスで生まれて、ブロンクスで育ってきたが、夜ある一定 の地区には今行きたくはないね」
ブロンクスで一番危ないというイメージがあるのはサウス・ブロンクス である。そこは、アメリカで一番裕福な地区、マンハッタン、アッパー・ イースト・サイドの、ハーレムをはさんで、すぐ北にある。
「最近サウス・ブロンクスはそこまで危なくないような気がするがな。 俺が一番嫌なのは北だよ北。ウエスト・チェスター・カウンティーとブ ロンクス・カウンティーの境くらいだな。それも東側ね」
ブロンクスといっても広い。逆三角形のような形をした下の頂点、南 にサウス・ブロンクスがあり、北西にニューヨークの中でも割と裕福 な人々が住むリヴァーデールがある。そして、ブロンクスの北東がこ のタクシーの運転手の言う地区だ。
「昼間は普通だがな、夜になるとドラッグの売買、ギャングのけんか、 その他いろいろ変なことが起こるんだ。しかしまぁ、いくら用心したと ころで、死ぬときは死ぬからな。こればっかりは運かもしれないな」 といってこの運転手は笑った。
先日の殺人事件も、この地区であった。
殺された男性は、奥さんの職場に毎日電話をかけ、彼女の帰りが 遅くなると必ず車で迎えに来るような人だったらしい。
そんな人が、何の理由もなく、けんかに巻き込まれ死んだ。
世の中は、不公平である。
        MediaBlitz



12月21日号 NO.66
『NYJJ=ニューヨーク在住日本国籍日本人』
最近、いろんなところで日本人の二重国籍の話を耳にする。
法的に日本人は2つの国籍を持つことができない。ただ、ニューヨークに住 む日本人の間では、以前から「アメリカと日本の国籍が同時に持てたらどん なにいいことか」という声があった。
おそらくロスや他の地域などにも同じ意見を持つ方がいると思う。
この「二重国籍欲しい」派に属するある友人が、私にこんなことを言った。
「在外投票運動には協力できないけど、二重国籍に関することだったら手 伝ってもいいわ」
この言葉を聞いたとき、私は金縛りにあったような気分だった。
私はこう聞き返したかった。
「で、日本の投票権がないのに、どうやって二重国籍の件を日本政府に飲ま せるつもり?」
そういう考え方を持つ人は意外に多い。投票権には興味ないけど、実際の生 活に直結するもののためなら動く人たちである。
投票権は、ある意味で「発言権」である。したがって投票権のない人間は発 言できないに等しい。
つまり、その人たちは、民主主義のプロセスにおいては存在しないのと同じ ことなのだ
二重国籍について発言していくための一番の早道は、投票権を獲得すること である。
なぜ投票権が「基本的人権」のひとつとされているかを考えれば、その意味 がよ〜く分かるはずだ。
                          風




「ぶりてんNuts」編集部


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